2013年10月7日月曜日

20××年 夏『虫歯』



正式名称は、う蝕。
う蝕を引き起こすのは、う蝕原性菌。
う蝕原性菌は、敵。
(うろおぼえ主観辞典より出典)


ドリルの音と薬品の独特のニオイが溢れる待合室で スッとはるか昔に意識が飛んだ。


ある帰りの会で 女教諭より覚え聞いた話では、虫歯になるには三つの要素がいるそうな。

1: 歯

2: 虫歯菌(つまりは う蝕原性菌)

3: 食べ物 (特に糖分)

1と2は、どうしようもないから皆は 3に気をつけようね~!と女史は 締めくくった。

いや待てと、ちびっ子だった●●●は憤った。


2の虫歯菌を何とかするのが、最も手っ取り早いだろうと。
何も、遠まわりする必要はあるまい。

科学と医療が幸せな関係を築けば菌などお手軽に取り除けるだろうに。

早々に諦めてどうする!!

ここでの思いが元となり、●●●は科学者に……は、ならなかったが 憤りの炎は今だ燻っている。


ああ なぜ、甘いものだったのだろうか。
う蝕原性菌が 辛党だったり、マヨラーだったら良かったのに。

あなた方が 甘党だったばっかりに、同じ物を愛する 同志であるはずの ●●●が 痛い思いをする。

同じ党の よしみで、攻撃の手を緩めてはもらえないだろうか。

…。まあ、もらえたら ここにはいないのだが。


伝説のドリル音が 響だし、今頃 彼らは慌てふためいているのかもしれない。

それというのも、度重なるこちらの譲歩(という名の先延ばし)にも応じず、あろう事か侵略を続けるからである。

あなた方のいる その歯は ●●●の最後の親知らずだったのに。
世間的には、邪魔物扱いされているが、長いこと共存していた親知らずだったのに。


しかし、解ってほしい。
●●●だって辛いのだよ、物理的に。
治すにせよ、放置するにせよ痛い経験をする事に変わりはない。

憂鬱である。


休日が 闇色である。
もしかすると、総合的な回数でいえば 友人よりも歯科医に会っている方が 多いんじゃないか。
一度 通いだせば週一で顔を合わせているものな。

それもまた、憂鬱である。
先生は悪くないが。

どなたか、う蝕原性菌を撲滅させるテクノロジーを 今この瞬間にでも生み出して
早々に保険の対象にしてくれる事を切に願う。

(この後、虫歯は1本もないと歯科医から言われ、ではこの痛みは 何なんだよと、途方にくれるのであった。)