●●●が 乗り換えで使う大きめの駅の目の前のビルの一階に、その書店は ある。
好立地でありながら、なぜか目立たず、他では 一瞬で 売り切れる『黒子のバスケ』の1番くじが 何ヶ月経っても売れ残っている様な 驚異的に地味な本屋である。
しかし、いつでもお客はいるし 猫の額 程の極小の広さながら、中々変わった本を置いていたり 書店員さんが丁寧なので●●●は、ここが大好きだった。
愛着すら あるので、ちょっと残念だが 愛しいこの本屋の事を『すみっこ書店』と内心 呼んでいた。
定期的に発売される漫画は、なるべく、『すみっこ書店』 で買っていたし、
本の取り寄せも、どんなに時間が かかっても、ここで頼んでいた。
まあ、頼んでから、2週間以上連絡がなかった時はさすがに、焦ったが…。
さて、そんなある日、
仕事帰りに『すみっこ書店』に寄り
相変わらず 可愛くない柄だな〜と、思いながら 店員さんが 文庫にカバーをかける作業を見守りつつ、 ポイントカードを取り出すと、『ポイント使いますか?』 と尋ねられた。
いえ結構ですと、普段通りの流れで答えた。
しかし…。
そこからが いつもと違った…。
それは なにげない、自然な口調で告げられた。
『えっ?でもここ4月で閉店ですけど?』
…。
…??
…???
えっ???
う、嘘でしょ???
ショックであった…。
思わず。
大きな声を出してしまいレジの店員さんを驚かせてしまった。
カバーが ダサくても、文句言わないから、どうか潰れないでよっ…!!
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●●●が この大きな駅を使うようになってから…つまりは、就職してから いつも 仕事帰りにこちらには 通っていました。
会社で、理不尽に怒られて、むしゃくしゃして よく解らない『おもしろ法則図鑑』 的な文庫を買ってしまって我に返ったり
以前●●●が 取り寄せた本が何冊か本棚に並んでいて、 ニヤリと得意げになったり
一方的な思い出だけど、●●●にとっては、 どれも忘れがたいものばかりです。
数々の本を見るたびに『すみっこ書店』を思い出すでしょう。
さようなら。
長い間、お世話になりました。
あなたは●●●が 胸を張って 大好きだといえる素敵な書店でした。
ありがとう。
さようなら。