2013年4月11日木曜日

20××年 秋『思い出』





深すぎる。
いつかまた記す。
(うろおぼえ主観辞典より出典)


昔 通った通学路。学生時代の馴染みの店。集合写真。

そんな色々な片隅に 思い出太郎は潜んでいる。奴は危険である。

やたらと、過去を美化して人間を一時的に 憂鬱にする。アンニュイにする。


よくよく考えれば、そんなに楽しいことばかりでは なかったはずである。

若さゆえの諍いや、言動、顔を覆いたくなるような失敗。

だが、思い出太郎は そういった負の事柄を曇りガラスの向こうにしまいこんでしまう。

ガラス越しだと、何だかモザイク画のように素敵に見えてくる。危険である。
あなたは、まんまと思い出太郎の侵略を許してしまったのだ。


先日、久しぶりに 通学小旅行を繰り返した路線を使用した。

決して 何某太郎には屈しないと決意していたが、車窓からの風景を見ていただけで 奴はちゃっかり心に鎮座していた。

不覚。
こうもやすやすと侵入を許してしまうとは。


ちゃんと、足は拭いたのだろうか?
一応 ●●●の心は和式なのだ。
せめて、そこのマナーは守っていただきたい。あくまで思い出太郎は招かれざる客なのだ。


…。
しかし、まあ、その日の目的は学術時代に よく立ち寄った商業施設に友人と行くことであった。

となるとこちら側も太郎氏の来襲は予知できていた…
いや。むしろ思い出太郎に会いにきたと言っても過言ではない。

今日はお茶ぐらいは出してあげよう。
そんな事を思った。