実在すると 話には聞いていたが まさか、本当にいらっしゃったとは。
テレビや小説などのフィクションの住人だと思っていた…。
『うーん。でもー この子ですと、こちらのお色も、似合いますしぃー 他にはー、柄つきになっちゃいますけどー 合わせてみると この子にピッタリかとー。』
この店員のおねいさんの言う
『この子』は 子供ではない。
どころか、人ではない。
どころか、生物ではない。
…。
『この子』はドレスであった。
まさかまさか、服を『この子』と呼ぶとは!!
愛が深すぎる!!
いやいやいや、それだけ この方にとっては大切な存在なのだろう。
思わず擬人化してしまいたくなる程に。
アイロンがけですら、億劫な●●●など 話にならないだろう。
違う世界を垣間見て、 少し感動しつつドレスをおねいさんに返した。
と、次の瞬間
そのドレスをポーンと椅子に投げた〜!!!
えーーーーー???!!!
『この子』と呼んでしまう程の溺愛をしていながら、投げたーー!
愛が複雑すぎる!!!
あれか?
獅子が我が子を突き落とす的な行動か?
お客(●●●の事だ)に買われなかったから戒めているのか?
しかし、その厳しさに『この子』は応えてはくれない。
なぜなら 非生物なのだからぁーー!!
…。
獅子的愛情表現と、理解しておこう。